
私は税理士業界に身を置いて20年近くになります。今まで、法人、個人の多様なお客様と携わってまいりました。 「お客様の満足」のために、日々業務に携わってまいりましたが、今回執筆の機会をいただき、この「お客様の満足」に ついて考えてみたいと思います。 「お客様の満足」の具体例としては、 「会社や個人がメリットを得られるような、価値を感じてもらえる提案」を提供し、 社長の思いを形にするお手伝いができるような場合です。 しかも、これを継続して行わなければなりません。 そのために、私が大切にしていることは、社長とのコミュニケーションの際に、 「本当は何を悩んでいるのか」を考えながら、 言葉の一つ一つを真剣に受け止め、質問し、社長も気づいていなかったニーズを引き出すようにしております。 顕在化しているニーズは、すぐにでも解決できますが、 潜在しているニーズは、数年後に顕在化しても手遅れになるケースも少なくありません。 会計事務所は会社の「人・もの・かね」と言われる経営資源を把握している外部で唯一の人間です。 そのような前提条件もある中で、会社の未来を社長と一緒に考えることができる価値ある仕事と思っております。

現在私の仕事のサポートをしてくれている方たちは2人おります。 入力やチェック、そしてお客様との資料のやり取りなどを行ってもらっています。 その際に、特に気を付けてもらっているのは電話のやり取りです。 お客様の表情を拝見できない環境で、 発した言葉と解釈した言葉が違う場合があります。 もちろん、私もそういう場面はよくありますが、 重要なのは、その状況にすぐに気づくことができるかです。 このような洞察力は、自分で気づいて修正、つまり成長できる人もいますが、 大半の人は、他の人から指摘されて気づくことでしょう。 私のアシスタントにも、そのことが伝わるように、時に厳しく指導したりもします。

前職で保険関係の会社に勤めていたこともあり、 保険の相談をよく受けます。 相談を受ける際に、必ず確認することがあります。 それは、「数十年先の社長自身のライフプラン」ができているのか、です。 一見「価値ある提案」に見えるような節税であっても、 後になって、あの時やらなければよかったということがあります。 その代表的なものは、出口戦略を考えない保険契約です。 保険料の支払い時には、その分の節税ができますが、 満期が到来すると解約返戻金が収益として戻ってきます。 そうすると、それは法人税の課税対象になります。 課税を極力回避するため、退職金として受け取ったり、 新たな投資を行う原資にしたりと、様々な会社の未来を見据えたプランが必要になります。 例えば、退職金として受け取るならば、 本当に経営から退かなければなりません。 その時までに後継者はいらっしゃいますか?